武蔵野市の農業の挑戦

お話を聞いた人

武蔵野市農業委員会会長 榎本一宏さん

取材協力

産業振興課農政係 合田 宇宏係長

インタビュアー

高校 1 年 二宮理緒

2022 年 11 月 13 日(日)に「農産物 品評会×CO+LAB MUSASHINO(コラボ むさしの)」が武蔵野中央公園で開 催されました。
「CO+LAB MUSASHINO」とは市内の事業者同士の連携を促進し、新しい商品や事業を開発するきっかけをつくるためのプラットフォームのことです。
第一回目のテーマは「食と農のおいしい出会い」。 武蔵野市産の農産物の品評会や販売、そしてカレー、バインミー等といったコラボ商品の 販売が行われました。武蔵野市の「農業」×「飲食店」の新しい価値の誕生により、武蔵 野市の魅力があふれた一日となりました。

武蔵野市の農業について、農業委員会会長榎本一宏さんにお話を伺いました。
武蔵野市内で生産する強みは何ですか?
昔は市内のほとんどが農地だったため、先祖代々農家、という家が多いです。今では、 「顔の見える農家」が増えてきましたが、昔は他人が農地に入ってきたら困る、だとか、 自分の畑でやっていることを他所に教えたりできない、という方が多く、自分のところだ けで完結させるところが多かった。今は時代が変わって、農家同士で情報を共有したり、 消費者に対してもオープンになったりと、切磋琢磨して、品質も向上しています。伝統も ありながら、新しいことにチャレンジできる環境もある、それが武蔵野市の農家の強みで す。
では、逆に課題だと感じることはありますか?
意外に思うかもしれませんが、実は販売する場所 はたくさんあって、作れば作るほど売れるという有難い状況です。需要に対して、農地が足りていない。それには様々な要因がありますが、たとえば後継者不足、 これに困っている農家さんは多いです。せっかく農地があっても、後継者がいなくて結局手放してしまう。 農業委員会でも、サポートしていかなければいけない課題だと感じています。また、今回「食と農のコラボ」ということで「CO+LAB MUSASHINO」 に参加してみると、飲食店の方たちから「武蔵野に畑があることを知らなかった」「どうや って買えばいいかわからなかった」という声をいただき、このような取り組みも継続していかなければいけないと感じました。
私が小学生だったとき、給食に武蔵野市産の野菜が使われていたことを覚えています。 食育への取組みについて教えてください。
学校給食では、現在 25~27 パーセント程度が武蔵 野市産の野菜を使用しています。うちの畑でも年 間 3t もの小松菜を給食で使ってもらっています。 子どもたちに地元の野菜を食べてもらうことも大 切だと思いますし、子どもたちから、食べられな かった野菜が給食のおかげで食べられるようにな った、という声をいただくと本当にうれしいです。 今は給食だけでなく、授業でも農家について取 り上げてもらうことが増えました。実際に畑に 児童が行ってブロッコリーの植え付けをしたり、 緑肥(ルビ:りょくひ)(作物を畑で育て、土に そのまますき込むことで肥料分になったり、有 機物として土壌改良に役立つ草の肥料のこと) を踏む作業を一緒にやってみたり、農業機械を 見てもらったり、様々な体験学習をしています。
リモートで話をしてほしい、なんてご相談もありますし、とにかく何でも大歓迎です。 どんな形でも、農家のことを知ってもらって、少しでも興味を持ってもらえたらいいなと 思います。小学校のとき畑に来ていた子どもが、大きくなって市内の若手農家になって、 新たな挑戦をしてくれる、そんな日が来ることを我々も楽しみにしています。